蜜柑の好きな女(ひと)

MIKAN


 昨日も人を送ってパース空港に行ってきました。
 何時もは、くっきりと姿を見せるダーリング山脈も雨に煙って薄く微かに姿を見せているだけでした。

 空港の近くは、りんご、なし、桃、栗、柿、蜜柑などの果物の産地です。

 今はマンダリン(みかん)の最盛期で、みかん好きであった今は亡き妻にせがまれてよく買いに行ったものです。

 空港から直接帰ろうと思ったのだが、亡妻の霊前に供えてあげようとハンドルを産地の方に切って馴染みのみかん農家に行きました。

 妻であったら多量に買い込んだであろうが、私一人では、霊前に供える程度で十分と少しだけ買って帰りました。

 わざわざ こんな辺地まで来て蜜柑を買うこともあるまいにと思いでしょうが、妻がこよなく愛した想い出の土地の蜜柑を供えてやりたかったのです。唯それだけのことで行ってきました。