入手済みの書状の解読です。

 

井上正直から伊達慶邦への書状 です。


-井上河内守正直:井上正直。
 遠江浜松藩の第2代藩主(1847年~1868年)。
 上総鶴舞藩の初代藩主(1868年~1871年)。
 老中。
-松平陸奥守:伊達慶邦。
 陸奥仙台藩の第13代藩主(1841年~1868年)。
・文中に「披露」とあり、宛所の敬称が「殿」であることから、老中奉書(老中返札)と判断
・井上正直の老中在職期間は1862年10月9日~1864年7月12日と1865年11月26日~1867年6月17日のため、9月1日は1863年と1866年のみ
・徳川家茂の将軍在職期間は1858年12月1日~1866年8月11日、徳川慶喜の将軍在職期間は1866年12月5日~のため、1866年9月1日は空席
・文久3(1863)年における松平陸奥守は、伊達慶邦
●文久3(1863)年の、 井上正直から伊達慶邦への (徳川家茂に鮭を献上したことに対する)老中奉書(老中返札) である

 

幕末のあわただしい時期でもまだ、鮭を将軍に献上・そのお礼状というやり取りができていたのですね。

 

 

翻刻は以下とみました。

 

鮭一尺被献之候
遂披露候処一段之
御仕合候恐々謹言
      井上河内守
 九月朔日   正直(花押)

  松平陸奥守殿