店には色んな人が来店する


石を見てきたのは、お腹の中の赤ちゃんから亡くなられた方まで

年齢で言うなら子供からご年配の方まで

層としては幅広い


その中で、同年代くらいの女性が来た


隣の市在住だけど、旦那が単身赴任でこちらにいるから、

時々部屋の掃除をしにくる


子供が2人、保育園のお姉ちゃんと弟君がいるという


隣の市では実家暮らしで専業主婦をし、

旦那も父親も公務員、

それなりに良い暮らし向きをしている風だった



最初に来たのは偶然で、

通路に面した所にある原石に吸い込まれるように入って来たらしい


話をするうちブレスのオーダーを貰って、

そこからこちらへ来る度寄るようになり、

常連になった




「ランチを一緒にしない?」


常連になって間もないある休みにランチに誘われた

ちょっとしたコース料理を食べられるお店でご馳走になり、

そのまま女性の実家にもお邪魔した


それから何度か休みの日にランチを一緒にするようになり、

神社や公園など散策することもあった


「信用出来る占い師や霊能者はどんな人かわかる?」


人から「信用出来る人はどんな人か?」と聞かれたら私ならこう答える 

と突然言った


「結婚してる人」


「結婚してる人は人生の伴侶を見つけた人なのだから幸せ

自分が幸せになっている人は信用出来る

だから結婚してる人の話を聞いた方が良い」



今思うと、

私は結婚して子供までいるのだから私の霊力が上

私の言うことが一番


の茶番劇に付き合わされてたんだと思う


私は占い師と霊能者を信用してない

事実は1つでも解釈は無数だから同じものをみても自分次第で違う答えが出る

私は自分を信用している

だから自分が信じた相手を信用する


占い師も霊能者もそれで良いと思う


だいたい結婚しても離婚の選択もあるじゃないかと思ったが言わなかった



その後だろう


いつものように旦那の家を掃除して店に寄りブレスを作る

その日は時間が無くオーダーを預かったまま女性は帰っていった


ブレスを作る


夜、夢を見た


二十日ねずみやナメクジが大量に出てきて、払っても払いきれない夢


そのことを女性に伝えると、

「式神がとんで行ったのね」

と笑われた


私が筋をたがえてブレスを作ったことを怒ったのだと言う

それもおかしな話だ


それ以来女性の態度が変わった


マウントをとって馬鹿にした

わかりやすい態度なら良かったが、当時の私にはわからなかった


そんな中、

「私、東京に石屋の知り合いがいるの

その人は私と同じものが見えて私の苦労もわかってくれる

あなたにはもう私のことがわからないでしょ

だからその人に今度からブレスを頼むの

今回は初めてだし、高い石になって総額が高くなるから、

今回は石代はいらない

これからの私の為にプレゼントしてくれるって言うの

今度、新しいブレスが届くから勉強に見たら良いわ」


と言った


なるほど

これはわかった

私は馬鹿にされている


ではどうぞ と、東京から高価なブレスの連絡が届くのを待つ


そこまで日をおかず写真付きで女性から、

「あなたから見てどう?」

のメールが来た


私は自分のこの能力を使って、もっと高い所へ行きたいの

自分の能力を高め、深めて、人の為に役立ち、

その力でお金を稼ぎたい

その為に作ったブレスなの


という言葉と一緒に



見立ては良くない


これ、このまま着けてたら望む意味合いと全く真逆になりますよ

自分の能力が散漫になり、高め深めるどころか、気が散り、集中力もなくなり、

思うことも出来ず、

見てるものとやってることがバラバラになり、

どこへ行けば良いかわからなくなりますよ

なぜなら、この石とこの石を着けることがまずあり得ない

百歩譲ってこの石は良いにしても、なぜこの意味合いでこの石を選ぶのか私にはわからない

まず、これ望む意味合いに合ってませんよね

見てわからなかったですか?

着けても着けなくても私はどちらでも構いませんが、

着けるなら、逆の方向に行くことをわかって着けた方が良いですよ

(多々省略あり)


見立てを聞いてきたので長~いメールを送った

女性の失礼な態度にキレた


ついでに弟のブレスも作って貰ったようでその見立ても聞いてきたので、

そこまでは長く無いメールで同じく返信した


「あらそうなの?

石のことはやっぱりあなたなのかしら

じゃ、やっぱりあなたに私のブレスをお願いするわ

このブレスは折角だから送って貰う」


すごい

自分は1ミリも悪くない態度


私は高い人間だからあなたの能力の低さは許容してあげる

私の指図に従って私の為の石を作りなさい


としか聞こえない


もはや能力



その後、母親やご近所さんのネックレス、

女性の友人のブレス、諸々作った


中には電話で、

「この男性は自分で石屋をやってるの

だから合う石だけ教えて

石はあるからいらない」

石だけ聞いてきたこともあった


律儀に答えたが……


自分の石を面識も無い他人の石屋に聞いて自分の石屋で石を探す

こんな失礼なことを相手は喜ぶのか

わからないが、

最低限の挨拶もせず喜ぶなら石屋は辞めた方が良い



この女性もシャーマンに憧れるの女性と同じ、

「私のこの能力は下の子に強く遺伝してるの

だから感受性が強くて大変で

この子も私と同じように能力があって苦しむかと思ったら辛い」


と言っていた


私でいうならおばあちゃんからの遺伝だろう

辛い苦しいはなく普通だと思ってた

自分に備わった能力は自分の能力で、

辛ければ磨けば良い


まぁ、私は低能力だからかもしれないが



能力が高かろうが低かろうがそんなもの関係無い


人としてどう生きるかじゃないのか



その内女性とは疎遠になった



その後店に来たが、

「私ヘッドハンティングされたの」

と、パートの仕事が決まったと言っていた



色々、それはどうかと思う人だった