10年前、母方のおばあちゃんが亡くなった


静かな物腰で、大きな声で怒鳴ることはめったにない

お上品風なおばあちゃんだった


肌が白くて80歳を越えてもシワも無く、小顔で丸顔のおばあちゃんは、

昔は百姓をしていて、

家の裏は大きな田んぼと畑があり、趣味で花を育てるのが好きだった


百姓をするのにファンデーションを塗って、一切日焼けをしたことがない

生粋の色白のお嬢様に見えた


宗教熱心で神仏とご先祖様を大事にし、

見えないものを大事にする、

怒ると怖いおばあちゃんだった



おばあちゃんには2人弟がいた


おばあちゃんの亡くなるより何年も前に、下の弟が亡くなった


お酒が大好きで大酒飲み

秋祭りの時には必ず酔っ払って他人に迷惑をかける

一度、他人に迷惑をかけすぎて警察を呼ばれたことがあった


総白髪の短髪で、おばあちゃんより老けてみえるおじさん


おじさんは独身で、他の家族とはあまり仲が良くなかった

おじさんと何か特別良い思い出がある訳ではないが、

私はけっしてこのおじさんが嫌いではなかった


おじさんが亡くなったことは、確か後から聞かされた

だから葬儀は誰が行ったかわからないが、

多分おばあちゃんの上の弟家族じゃないかと思う



おばあちゃんが亡くなり葬儀も済んだ数日後、

亡くなったおじさんが「お願いがある」とやって来た


「姉さんが亡くなって誰も自分の世話をしてくれる人がいなくなったから

仏壇に酒をあげてほしい」


おばあちゃんは亡くなる数年前から家を出て、我が家の近くに住んでいた

なのでおじさんの言う仏壇とは我が家の仏壇のことだ



おばあちゃんが、亡くなったおじさんの面倒をずっと見ていたことを初めて知った


生きていた頃からおじさんはおばあちゃんの家にはよく遊びに来ていた



おじさんは色々ともめ事の多い人だった


この家への配慮と仏壇に他人を入れるのは

ということで家族は反対したが、

結局ワンカップ1つ仏壇に供えた


それ以来おじさんは来てない



やっぱり、おじさんは本当は律儀な人だったんじゃないかと思う