こどもの読書週間4/23~5/12

 

昔、こどもだった人にも…おすすめの絵本を1冊。

 

今日は憲法施行から70年目の憲法記念日です。
日本国憲法の3つの柱は
「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」
今日は少しだけ家族で
平和について考える絵本を1冊紹介してみます。


本「一つの花」
文・今西祐行  絵・鈴木義治 
ポプラ社 お話名作絵本21

 


「一つだけ ちょうだい。」
これが、ゆみ子の
はっきり おぼえた

最初の ことばでした。
まだ、戦争の
はげしかったころのことです。


食べるものがなく、
配給されるおいもや、豆などしか無い時代。
街は敵からの爆弾で次々と灰になっていきました。
ゆみ子はご飯の時もおやつのときも

もっと、もっと ほしがりました。



困ったお母さんは
「じゃあねっ、一つだけよ。」
といって分けてくれます。
「一つだけ…。一つだけ…。」
ゆみ子は、
お母さんのこの口癖を覚えてしまったのです。

まもなく、ゆみ子のお父さんも、戦争に行かなければならなくなりました。
ゆみ子とお母さんはたった二人でお父さんを見送りに駅へ行きます。



お母さんはお父さんの為に大事なお米でおにぎりを作ったのですが、ゆみ子は
「一つだけ、一つだけ」と、
全部のおにぎりを食べ尽くしてしまいました。
いよいよ、
駅に汽車が入ってきました。
また、ゆみ子の
「一つだけ ちょうだい」が始まり
ゆみ子が泣き出してしまいました。


 

戦争に行くお父さんに
ゆみ子の泣き顔を見せたくないので
お母さんが一生懸命ゆみ子をあやしていると
お父さんが駅の端に咲いている
一輪のコスモスの花を手渡しました。

「ゆみ。さあ 一つだけあげよう。
一つだけの お花。だいじに するんだよ」
ゆみ子はキャッキャッと喜びました。
お父さんはそれを見てにっこり笑うと

何も言わずに汽車に乗っていってしまいました。


ゆみ子の持っている一つの花を見つめながら。

それから10年の年月がたちました。
ゆみ子は、おとうさんの 顔を 覚えていません。
自分におとうさんが あったことも、
あるいは知らないのかもしれません。
でも、今 ゆみ子の とんとんぶきの 小さな 家は、コスモスの 花で いっぱいに つつまれています。そこから、ミシンの 音が、たえず
早くなったり、おそくなったり、
まるでなにか お話をしているかのように、
きこえてきます。
それは、あの おかあさんでしょうか。

 


「かあさん。お肉と おさかなと
どっちがいいの?」

 


ミシンの音が暫く止み、
また、忙しくはじまった後で ゆみ子が
スキップしながらコスモスのトンネルをくぐって
出ていきました。
今日は日曜日、ゆみ子の小さなお母さんの日です。
 花花花花花花花

今西祐行さんの、あとがきには

 

《戦争に敗けた日本の街はほとんど焼け野原でした。

人びとは防空壕に、拾い集めてきた焼けトタンの屋根をつけたような家に住んでいました。そんなみすぼらしい家のまわりがいっぱいのコスモスやオシロイバナに包まれていて、軍隊から帰ってきた私の目にはどんな見事な庭園よりも美しく見えました。》

《この作品を書いたのは…そのころ毎年、年頭に、マッカーサーが日本の再武装を教書にうたい、家の近くで原民喜※が鉄道自殺をとげています。》

※原民喜 広島出身の詩人・小説家1905-1951

と、こんな記述があります。
戦争を知らない私達は
混沌としていた日本を想像するしか出来ませんが。
私の母は祖父を戦争で亡くしました。
祖父が出征していく日。
ゆみ子のように小さかった母には
何の出来事か理解出来ていなくて
「おとうさんは何処に行くの?」
と祖父に話をしたとき、
まわりの皆が下を向いて泣いていたのよ。
と、涙ながらに話をしてくれました。
家族を戦争に取られた者の本当の気持ちはその家族にしか
分からないのでしょうが、
戦争は全てを奪っていくものであって、
どんな理由であっても
すべき事では無いと改めて感じた母の思い出です。
普通に3食のご飯を食べ、布団の上で寝て
家族で過ごしたり、好きなように過ごせる事が
当たり前になっています。
でも、今も地球の何処かで銃声や爆撃に怯える生活を送っている人々もたくさんいるのです。
その人々に何かをしてあげるところまでは
出来ないけれど、皆が
自分のことばかり考えるのではなく
自分のまわりの人に思い遣りを持って生きる事で
少しは世間でのイザコザが減って
住みやすい明るい世の中になっていくのかな?
今は平和に過ごしている日本。
それがとてもいろいろな人々の犠牲の上で
作られ、保たれている事を忘れてはいけないし
この平和に感謝して、
もっと大切に生きていかなくては
と、思います。

 


今日はちょっと長い長いお話にお付き合い下さり
ありがとうございました。りぼン29


 

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