バスの一番後ろに座って

バス停からの数秒、

あなたは私に手を振った

 

私は思いっきりの笑顔で

手を振り返す。

 

あなたが前を向いたその瞬間

涙があふれた

 

友達でいたくて閉じ込めた恋心。

 

友達に戻れた気でいた。

私でさえも思いがけない心の動揺

 

「聞いて、俺、彼女ができた。こんな風に遊べる時間なくなる。」

「おめでとう!!」とびっきりの笑顔を添えて。

嬉しいのにちょっとだけ感じる気持ちの違和感

 

恋心なんて残ってないのに

ほんとにほんとに消えたのに。

あれから何度も二人で会って

普通に遊んだ。

手をつなぎたいとも何とも思わなかった。

 

なのに何故か切なくなる。

 

それはたぶん私の嫉妬。

あなたの恋に対してじゃない

あなたは前に進んでいるのに

私は前に進めていない

そんな情けなさから来たもの。

 

あなたの声が聞こえるうちに

さようなら お幸せに

 

街の雑踏にかき消され

届かなかった私の強がり