昨年3月の花見以来の京都観光に行ってきました。

過去に修学院離宮・桂離宮を参観し、今回は念願の「京都仙洞御所」に行ってきました。

 

紅葉の穴場と聞いていましたが、10月ごろに宮内庁のホームページで見ると12月中旬までいっぱい。

紅葉も終わるだろう15日にようやく予約でき、カメラ片手に参観してきました。

 

これらの施設の参観は、宮内庁職員さんが説明員として先導し、警備員が後ろから監視する形式です。

写真を撮りたい私は、好きな場所から撮影したいところですが許されず、隊列から離れることもできません。

歩きながら何かを感じたら即シャッターを押すしかありません。

三脚も使えず短時間で撮影するため、写真家としては厳しい条件です。

 

ともかく約1時間ほどの参観で300枚以上の写真を撮り、お見せできる写真をご紹介します。

 

京都仙洞御所の施設紹介と地図はこちらをご覧ください。

 

 

まず、大宮御所の御車寄から参観しました。

三層の屋根が美しく、天皇皇后両陛下がご入洛されると、この前庭で多くの人がお出迎えするとか。

階段には赤じゅうたんを止める金具が付いていました。

大宮御所は京都仙洞御所と一体になっており、今でも皇族の滞在施設として使われています。

 

大宮御所の御常御殿を南庭から参観。

皇太后の御所として造営され、柔らかい屋根の曲線が印象的です。

ただ迎賓館が完成するまで、外国からの国賓の宿泊施設に使われ、内部は洋風になっているとか。

レースのカーテンに違和感がありますね。

 

南庭には黒松・梅・竹が植えられ、松竹梅の庭と呼ばれているそうです。

この南に仙洞御所の建物があったそうですが、5回も火事で焼け、その都度

再建されましたが、5回目の火事では上皇がお住まいでないため再建されず、

今も松林になっています。

 

南庭から仙洞御所の庭園に入ります。

北池・南池の2つの池を回遊する庭園で、小堀遠州が作庭しました。

北池は皇太后のためのお庭で、池の淵の優しい傾斜が印象的です。

 

東山を借景にした伝統的な日本庭園の作庭技法ですが、なだらかな東山が遠くに

見える風景は流石です。

 

写真の六枚橋(六枚の石で造られた)を渡ると阿古瀬淵(アコセガフチ)になります。

ここには紀貫之の邸宅があったことが確認され、碑が立てられています。

 

最近新造された和船が停められていましたが、天皇陛下は船を漕ぐのがお上手と

説明員から伺いました。

こんなお話が聞けるのも楽しいですね。

 

中島の護岸に自然石が並べられ、その配置や形の組み合わせに惹かれます。

 

中島の南端の優雅な護岸です。

さすがの優雅な景色に唸ってしまいます。

 

北池と南池を隔てる鷺の森の大きな松の樹の下に、お約束のアオサギが佇んでいました。

時間が止まったかのような静寂の世界でした。

 

紅葉山に渡る土橋です。

優雅な曲線と、袂の基部に造られた石組みの精緻さに驚きました。

 

紅葉山で名残りの散り紅葉が出迎えてくれました。

紅葉の美しさ、儚さを印象付けるこの時期ならではの素晴らし景色でした。

 

南池に入ると、対岸に石組みの滝と石を配置した護岸が見えます。

私にとってはここがハイライト!

平らな切り石と自然石を組み合わせた小堀遠州の大胆な作庭です。

切り石が並ぶことで自然石が際立ち、その配置間隔が絶妙で、遠州の美意識の高さがうかがわれます。

第一級の芸術家の作品を見た興奮を抑えきれません。

 

藤の花で有名な八ッ橋を渡ります。

藤が花盛りの頃はきっと良い香りで満ちていることでしょう。

想像するだけで優雅な気分になります。

橋の上から南池の全体を見ることができます。

 

楕円形の手のひらサイズの石を敷き詰めた州浜です。

石の数、ナント11万個!

1817年に光格天皇が譲位され仙洞御所に移る際に、小田原藩主大久保忠真が寄贈したとのこと。

この石を集めるため、石1個と米1升を交換したとか。

そのため、この敷き詰められた石は「一升石」と呼ばれています。

何とも贅沢な州浜ですが、多くの百姓を喜ばせた粋な話でもありますね。

 

南池の南端に醒花亭(セイカテイ)が残っています。

ここは書院と入側が合体した特異な部屋で、煎茶の茶室として使われたそうです。

粋なデザインの違い棚と違い障子の精緻な作りに惹かれます。

 

南池の西岸を北に歩くと、散紅葉が鮮やかに池の淵を飾り、ここに雪が積もれば

さぞかし美しいお庭になるだろうと想像しました。

 

明治17年に近衛家から献上された茶室、又新亭(ユウシンテイ)です。

ちょうど修復工事中でしたが、中門のかやぶきの屋根が修復されたばかりでした。

四つ目垣で囲まれて、侘茶の世界を形作っていました。

 

この後、最初の大宮御所の御車寄に戻って参観は終了です。

丁寧な説明で分かりやすく、事前に調べていたのでよく理解できました。

 

写真撮影が目的でしたが、短時間でスナップ写真しか撮れませんでしたが、

私が感じたディライトを写真に残すことだけはできたように思います。

 

桜・藤・紅葉の時期に訪れるのも素晴らしいかと思いますが、紅葉の終わった

12月も庭園の鑑賞には最適と知った参観でした。