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その先生は中学1年生の担任だった
担任するクラスに不潔でだらしない女の子がいた
気付くと日々のメモには女の子の悪い点ばかり書いていた
小学校から送られてきた情報に目を通してみた
小学3年生
「朗らかで活発。友達が大好きでとても優しい。勉強もよくできて将来が楽しみ」
えっ 嘘だ
何を言ってるんだ この先生は
小学4年生
「お父さんが倒れた。お父さんの看病のため遅刻する日が増えた」
小学5年生
「お父さんが病気で亡くなった。女の子から笑顔が消えた。」
小学6年生
「お母さんがアルコール依存症になった。女の子はお母さんから暴力を振るわれるようになった」
その先生は
頭を石で打ちつけられたような感覚になった
胸が張り裂けそうなくらい苦しくなった
今までの自分を責めた
次の日から
放課後 教室で勉強を教えるようになった
いろんな話をしながら
1週間後
女の子が初めて授業中手を挙げて発表した
その先生は
涙が出そうになった
嬉しかった
クリスマスの日の放課後
女の子がその先生に近づいてきて
使い古しの整髪料をそっと渡してきた
おそらく 大好きだったお父さんが使ってた整髪料だろうと思った
仕事の帰り道
もらった整髪料を髪につけて
女の子の家に寄った
女の子は
胸に飛び込んできて
「お父さんの匂いだ
落ち着くなあ
先生 最高のクリスマスプレゼントを
ありがとう」
と言った
中学2年 3年は女の子の担任ではなくなった
卒業の日
その先生は女の子から手紙をもらった
「先生は今まで出会った中で
1番最高の先生です。
私が人生のどん底で
生きる希望が見えず
消えてなくなりたいと思ってたときに
救ってくれました。
本当にありがとうございました。」
3年後
女の子から手紙が届いた
「奨学金を借りて
医学部への進学が決まりました。
あの時先生が救ってくれたから
今の私があります。
つらい思いをした私だからこそ
人の痛みに寄り添える医者になりたいです」
それからさらに8年後
「結婚することになりました。
先生に父親の席に座ってほしいです」
縁とは不思議なものです。
人生にはたくさんの縁があるけど
それをよい縁にしたいものです。
その先生は
女の子から感謝されてるけど
本当に感謝してるのは先生の方です。
たくさんのことをその女の子から学び
成長することができました。
「人の痛みに寄り添える人間になりたい」
女の子の言葉ですが
そう思ってるのは先生もです。




