芦沢さんは、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞してデビュー。
最近の作品も面白いけど、このデビュー作はまだ未読。
ずっとタイトルにひかれていた…。
運良く図書館棚にあったので借りてきました。
『罪の余白』~芦沢央
うん、やっぱり受賞するだけのことはある。
デビュー作なのに完成度が高いと感じました。
妻を亡くし、大切に育ててきた一人娘が学校で転落死。
自殺と考えられていた。
が、父親は娘の死に疑問を持つ。
娘の友人だという少女が訪ねてきて…
父親は、娘の日記からいじめの実態を知る…。
クラスのグループに属さないと自分の居場所がない、という女子高生の不安と焦り。
さらにグループ内での上下関係。
確かに女子はグループをつくるよね。
でも、グループで行動するけど、上下関係はないな。
優位に立って威張る子なんていなかった。
けど、物語はそうはいかない。
見た目は抜群に可愛いけど、腹黒くて性格の悪いリーダー格の咲。
そして、言われるがままの子分的な女子。
被害者と加害者の両方の視点から描かれる。
加害者の咲の心理描写がとてもリアルだ!
一方、いじめの実態を知った父親の葛藤。
さらには、娘を死に追いやった咲たちとの駆け引き。
心理戦のようで巧みだ。
イジメを主導した咲は反省の色もなく、証拠隠滅を画策する
なんて身勝手で心も歪んでるの!
そして残酷!
罪の意識なんてさらさらないのが、なによりそら恐ろしい
それぞれが追い詰められていく様子
咲の歪んだ心と、咲に従うオドオドした上下関係
亡くなった娘の父親の悲しみと復讐の心理
リアルで緊迫感がありました。