医療用ウィッグ

ウィッグを買いに行ってきました。
どうせ買うなら試着して、と思い予約制のサロンを持つお店を選びました。
娘も一緒に行きたいと言うし、せっかくだから試着した際の感想を聞きたかったので夏休み最終日に二人で電車でおでかけしました。

とあるビルの中、エレベーターを降りるとマンションのような扉にインターホン。ちょっとこわごわボタンを押すと、中からにこやかなお姉さんが出てきました。個室に通され、飲み物を出していただき、ご丁寧に名刺まで渡してくれました。机の上にはたくさんのウィッグの見本写真。私のはっきりしないあやふやな希望を聞いてくれ、たくさんの試着用のウィッグを持ってきてくれます。
ウィッグは人毛、人工毛、人毛&人工ミックスの３つに分かれます。それぞれの特徴は人毛は髪質が自然で比較的長持ちだけど、高価でお手入れが大変。癖もついちゃうので直しが必要。人工はテカりが強く劣化も早いけど安価でお手入れが楽。形状記憶なので直しは手ぐしで。ミックスはそれらの中間です。こちらのお店はすべての商品が医療用として認可されているので、品質に関してはとてもいいものに感じました。人工毛のものでさえ、本物の髪の毛に見えるくらいです。病院で看護師さんに勧められた某有名大手メーカーの人毛のウィッグは50～60万円するものもありますが、こちらの人毛の商品はその10分の1程度。ウィッグをつける期間は抗がん剤を始めて間もなくから、薬が終わってショートに生え揃うまでなのでおよそ１年。なのであまり張り切っていいものを買うのもムダなので、今回はミックスにすることにしました。お手入れもわりと簡単らしいし。

美容院のような鏡と椅子があり、そこに座って試着です。髪の毛をネットの中に入れた私の姿は舞台前に楽屋にいる歌舞伎役者のよう。娘がゲラゲラ大笑いしています。ウケてるウケてる。始めにボブをかぶってみましたが、まあ～似合わない。びっくりするほどしっくりこない。今の髪型に近いはずなのになぜでしょう。さっさと諦めミディアムロングに。これは…うーん、まあまあかな。店員のお姉さんが優しいのをいいことに次から次へとかぶってみましたが、これだ！というものはなかなかない。そういえば看護師さんが「ウィッグの見た目に一番違和感を感じるのはご自身です。」と言ってたっけ。ほんと、その通り。

結局、３つも買うことにしました。メイン使用にミックスのミディアム、サブで人工のミディアム。娘がなぜか欲しがり人工のロングも。かぶるのは私なのに。
すべてのウィッグを店員さんが私に馴染むようカットしてくれます。前髪やサイドはもちろん、目からウロコだった生え際&もみあげ&襟足。説明を聞いて初めて意識しました。風が吹いたら一番不自然になってしまう３ヶ所です。丁寧にカットして３ヶ所を作ってくれました。さすが。
その他ウィッグスタンドや専用シャンプーなど必要だと思われるものを揃えてもらいました。こんなに買うのに予算以下です。よかった。

予約時間は30分間だったのに、結局２時間もサロンで楽しく過ごしました。髪が無くなるのはとってもイヤですが、このウィッグをつけて出歩くのがとても楽しみになりました。家に帰ってウィッグをかぶっては楽しそうに笑っている娘を見ながらそう考えていました。