手術室の中は真ん中に手術台があり、周りでは看護師さんたちがパタパタと準備を始めています。台に寝ると3人がかりで私にいろんなものをつけ始めます。全身麻酔なので台から落ちないように体を固定し、腕に血圧計をはめ、手術着の肩のボタンをはずし服をスルッと脱がせて上半身は裸になりましたが、布のようなものをかけてくれます。口には酸素マスクがあてられ、麻酔の準備です。「ちょっとボーッとする薬が出ます」と言われて吸っていますが、あまり変化はありません。天井にはテレビドラマで見たことのある丸い大きなライトがあります。わー、本物だ。
「じゃあ、点滴から麻酔が入ります。入り始めたら腕がピリピリします」といわれました。……ほんとだ、ピリピリする……うわ~ムカムカする。気持ち悪い………


「(名字)さーん」……気持ちよく眠っているのに……「終わりましたよ」…終わったのか。早い…のかな。
麻酔が完全には覚めないので、かなりボーッとしていたようですが無事終わったことはわかりました。病室までストレッチャーで運ばれ、ベッドに移されました。付き添ってくれた主人がいろいろ話しかけてくれていましたが、ほとんど記憶に残っていません。ただひとつ覚えていることは「脇に転移があったよ」ということだけ。そっか。やっぱり脇リンパ取ったのね。まあ、しょうがないよね。

そのあとはウトウトとまどろみ、頭がはっきりしてから何人かに手術が無事に済んだことを✉しました。さすがに手術後当日の連絡には驚かれました。でも、左手は肘から下は動かせるし、右手は手首の点滴の針が少し痛いけど問題なく使えるのでスマホはいじれます。乳房の手術って、術後はわりと楽なんだな、と思っていたのですが…。

よくよく自分を見てみると口には酸素マスク、腕には血圧計、手首の点滴。胸からはリンパ液を溜めるドレーン&袋が出ています。尿道カテーテルも入っています。起き上がることはもちろん、寝返りをうつこともできないのでとにかく腰が痛い。看護師さんに訴えて左半身に布団を当ててもらい斜めになったりしてみますが、一瞬は楽でもすぐに辛くなります。一晩中、腰の痛みとの戦いでした。傷の痛みではなく。寝たきりの人のつらさがよくわかりました。