10分どん 兵衛・番外編
先日、取引先に積み込みに行った時の事。
昼休みに積み場へ行くと、そこのリフトマン(フォークリフトを操る人)が、近所のコンビニから両手で大事そうに「どん兵衛」を持ってソロ~っと歩いて来た。
俺は
「そんなに大事そうに持って、どうしたの!?」
と聞くと
「いや、最近血圧が高くてよぉ~。あんまり味が濃いと血圧が上がるべ?だからお湯をヒタヒタまで入れてきたんだよ」
と、得意気に言ってきた。
「てか、粉末スープの量を減らして入れれば良いんじゃねぇ?」
と言うと、彼は鳩が豆鉄砲をかまされたような顔になり
「だよなぁ~!!!」
と言いながら、お湯を地面に捨て始めたのである。
「それはチョイと違うんでない?」
と言ってみたのだが、満面の笑みを浮かべながら再び歩きはじめ、休憩所に入り「南アルプスの天然水」をどん兵衛に入れて食べ始めたのであった。
10分どん兵衛
先日、知ったかぶりで有名な同僚のオジ サンから
「なぁ、10分どん兵衛って知ってっけ?お前は知らねぇ~べなぁ~」
という電話があった。
「なに?いきなりどうした?」
と言うと、オジサンは
「知らねぇ~んだべ?なっ?知らねぇ~んだべ?」
としつこく言ってきたので
「知ってるわ!てか、ずっと昔から俺はカップ麺はそのくらい時間待ってから食ってたわ!!!」
と言うと、少し無言になり
「えっ?知ってんの?てか、10分どん兵衛って商品が発売されたんじゃないのけ?あれは、普通のどん兵衛を10分待って食うって事だったのけ!?」
と驚いていたのであった。
ヒッチハイカー・5
シャクレを乗せ走り出した俺であったが、1時間経過しても上手すぎず下手すぎない、微妙な感じのどこの国の曲だか判らない唄を聴かされていた。
しかも、どれほど風呂に入ってないのか、はたまた小雨が降っていたせいもあるのか、シャクレは鼻の穴をつんざくような異臭を放ちまくり、その臭いたるは「濡れた犬」のような臭いで、俺の耳と鼻は完全にクラッシュしてた。
そして福島県に突入したあたりでシャクレも流石に疲れてきたようで
「もう歌わなくて良いでしゅか?」
と言ってきた。俺は
「最初から歌ってくれなんて頼んでねぇ~べよ!てか、日本人?」
と聞くと、シャクレは
「台湾とのハーフでしゅ」
と、なぜか少ししょんぼりとしたので、これは静かで良いと思っていたのもつかの間、今度は自身の父親の話をし始めた。
「貴方は筋もんでしゅか?僕のお父さんは筋もんでしゅ。だから、怒ると怖いんでしゅよ。まぁ、普段から怒ってるんでしゅけどね。前に腹を刺されました。今でも傷が残ってましゅ。見ましゅか?」
と、とんだサブライズ発言をおっ始めるシャクレ。
「なんて刺されたのよ?」
と聞くと
「それは僕が刺されるような事をしたからでしゅ」
といいながら、うなだれるシャクレ。
いろいろ聞きたいことは山ほどあったのだが、流石に鼻がよじれそうだったので、福島県の真ん中辺りでシャクレに別れを告げた。シャクレは以外にもあっさりとした対応で
「ありがとうごじゃいました」
と言い、トラックから去っていった。
すると、会社のオジサンから電話があり、シャクレとの経緯を話していると、オジサンが
「それってよ、アゴが半端なくシャクレてて無精髭はえてたべ?で、ヘンテコな唄を歌って、最後に親父の話をしなかった?」
と聞いてきた。
「なんで知ってんの!?」
と聞くと
「去年、俺もそいつ乗せた」
と言ったのである。
「マジで!?てか、同じ会社で同じ人をヒッチハイクするとか、スゲェ~確率だっぺや!!!」
と言う俺に、オジサンは
「しばらく臭い消えないぜ」
と言って電話を切った。
警告通り、数日間シャクレの残り香と共に運転をしたわけだが、成り行きで乗せたとはいえ、今振り返ってもなぜ乗せたのか未だに不明のままである。
シャクレ、元気でやってっかなぁ~
