太宰治を父に持つ作家の津島佑子が、

父について語っていることはないかと

探してみると、出てくる。

 

一歳の時に父を亡くしている。

だから記憶は一切ない。母から聞いたことと自分で調べた

ことしか知らない。

 

「父についても、どうか、だれにも聞かれないように、
といつも願っていました。

父はいませんと言えば、それはなぜ、とひとは聞きます。

事故で死んだ、と答えれば、なんの事故、とさらに聞かれます。

そうなると返事に困ってしまいます。」

 

遺族の自助グループに出たとかは言っていない。

そんなものは、当時なかったのだろう

 

津島祐子(太宰治の次女)『山のある家 井戸のある家』

 

一方、やはり太宰治の子どもだが、正式な妻ではない

静子から生まれた太田治子氏による記録もある。

『明るい方へ 父 太宰治と母 太田静子』

 

治子が数ヶ月の時に、太宰は亡くなっている。もちろん記憶はない。

しかし、母と父のことをこれでもかという

くらいに書きすぎていて、私的にはいただけない。

おそらく、書けば売れるという編集者の勧めもあったろう。

 

津島さんのように、言いずらいことをよく言ってくれたな

くらいの方に私としては親近感を抱く。