刑務所長が人物伝になっている!
明治生まれの薩摩隼人。
北海道の網走刑務所を作り、
東京小菅の刑務所長も務めた。
(当時は刑務所長が「典獄」と言われた)
同じ福祉教育の先駆者の
留岡幸助とも親しく、
やはりクリスチャンであった。
小菅に勤務していた大正年間の
9月1日に大震災が関東地方を襲った。
そのような非常事態では、囚人を一時放免
する権限が所長に与えられていたが、
有馬はしなかった。
特別に凶悪者は監禁したが、
その他は自由にした。
しかし、脱走者はいなかった。
所長の人格のなせる結果であった。
脱走者が戻ってくると、
「よく帰ってきた」と涙を流したという。
30年以上前の出版なので、
古い文体もあるが、
それがまたいい味を出している。
吉川弘文館発行