深く悲しむことは忘れるためではありません。

悲しむことは私たちを癒し、苦痛とともにではなく、

愛とともに記憶しておくことを可能にしてくれます。

それは回復の過程です。

ひとつ、ひとつ、失われたものを

往くにまかせ悼むのです。

ひとつ、ひとつ、あなたという人間の

一部となっていたものをつかまえ、

そこから再出発するのです。

 

レイチェル・ナオミ・リーメン

「祖父の恵み」

中央公論新社