「暁の宇品」を読んでから、
堀川惠子氏の作品を読みたくなった。
本書は、著者がまだ広島放送に勤務中に
同名のテレビ番組を作ったことが契機となった。
あるコンクールで番組が賞を取り、
審査員をしていた小笠原氏と堀川氏で
共著という形にした。
テレビでは紹介できなかった事柄が
盛り込まれたという。
舞台は、やはり戦前の広島。
主人公は、終戦まで2年半、
広島電鉄(チンチン電車)で、運転手と
車掌をしていた女学生たち。
終戦間際には、男手が少なくなり、
10代半ばの女学生たちが駆り出された。
女学校並みの教育を受けられて
給与まで出された。
14−5歳で、市民の足である路面電車を
運転したり、切符を販売した。
8月6日のピカドンは、この電車にも
容赦無く襲いかかった。
歴史の中で埋もれていた事実を
掘り出すのが得意な堀川氏。
広島、原爆、被災者・・・。
自分にとって縁遠いものだった
これらの事実が身近になった。