わたしの記憶には、

多くのつらい出来事が刻まれています。

わたしは、そのつらい出来事を、

まっすぐ見つめていたいと思うのです。

なぜなら、その出来事の一つ一つは、

つらい出来事であると同時に、

わたしに人間のやさしさを教えて

くれる出来事でもあったからです。

人間が生きぬいていく力は、

どこかほかから与えられるのではなくて、

つらい出来事のなかから、

人間がみずから

くみ出してくるのです。

 

高 史明  「生きることの意味」 

筑摩書房 ちくま文庫

 

共感したので、書き留めておきます。

 

著者は、10歳にもならない幼い時に、

死のうとする父親を目撃しました。

幸い、父親は一命を取り留めます。

 

しかし、著者は、その後自分の息子を

12歳で失うことになります。

それも自死でした。息子は、

多くの詩を残しており、

「ぼくは12歳」 高真史

という本になっています。