『犯罪』

フェルディナント・フォン・シーラッハ著

酒寄進一 訳

創元推理文庫

 

今年春まで知らなかった作家。

ドイツ人で刑事訴訟弁護士でもある。

 

ある本で紹介されているのを知り

わけもなく読みたくなった。

短編集の全てが犯罪の話なので、

それなりに覚悟は必要。

 

怖くて読めないところも、

おぞましくて飛ばすところもある。

しかし、最後の

「エチオピアの男」はお勧めです。

 

二回も銀行強盗を働き、

有罪判決になるのだが、

被告の人生を聞いて

二人の参審員(裁判員)が涙を流し、

被告が行きたくても行けなかった

所への飛行機の切符を買ってやろうと話し合う。

 

彼とような人生を辿っていたら、

誰だって同じことをしていただろう。

 

同著者の「罪悪」も読んだが、

「犯罪」の方がいい。