今現在の空き家。数年前の調査で約820万個にのぼる。今後十数年で二倍以上になるとされている。実際市場価値がないものを除けば、相続問題との関連における不動産の共有化と、痴呆症による意思能力の欠如、のいずれかを理由として、売却などができないことを理由としている。
相続問題。これは、遺産分割が整わない場合。財産承継等の話し合いがされる前に、財産所有者が亡くなってしまい、事前からか事後的に親族間の遺産トラブルが生じたということに起因する。後者は、高齢化による意思能力の欠如で、法定成年後見人が付いているか、否かを別にして、塩漬けになってしまったということに起因する。
いずれにしても、事前に手当をしておけば、資産が遊休になることなどない。その代表的手法が、家族(民事)信託だ。具体例を一つ見ておこう。
Ex.高齢の夫と妻、長男という家族構成 財産は、土地と金融資産。この場合に、夫妻の生活の安定化と、夫亡き後の財産管理が心配だという場合
信託目的は、夫妻の生活の安定化と、夫亡き後の財産管理 受託者の職務(権限) 不動産の管理・処分と金融資産の管理・運用
信託財産 自宅と金融資産
委託者 受益者 夫 受託者 長男か、適格性がなければ旧友の専門家 第二次受益者は、妻とする。このようにしておけば、信託の目的が果たされる。そうすれば、自宅が空き家になるような心配とか、修繕できないといった心配もいらず、金融資産が凍結されるといったこともない。
このような信託契約を痴呆症等になる前に結んでおきさえすれば、資産の遊休化が防げる。そうでないと法定成年後見人をつけて、財産の管理・処分が任されるとしても、財産を守るのが後見人の使命なので、自宅の売却などはなかなか行われない。家庭裁判所が預金等金融資産を使い果たし、生活ができなくなるくらいになるまで、自宅の居住権を重視するからだ。融通が効かない制度設計。これは仕方ない。
このことを知って、早めの対応をすべく、信託行為の中の信託契約を考える必要は少なくないだろうと思われる。というのも超高齢化社会で、健康寿命と寿命には7-8年も差があるのだから。
一般社団法人家族信託・空き家協議会
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中小企業のホームドクター安村税理士オフィス
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