野田聖子さんが出産しました。


50歳越え。当然、卵子提供を受けての体外受精卵移植による妊娠です。


多彩な問題を含んだ出産です。


●子供の福祉の観点から

   ・遺伝上は片親の遺伝子は受け継いではいない -- 子供がこの事実を知るのか、知った場合どう受け入れ るのか

→子供が遺伝上の親を知る権利に対しての情報管理に関しての問題。

   ・子供が小学校卒業時に母親は60歳超、高校入学時65歳 --- 子供がどう受け止めるのか周囲からどう受け止められるのか

→これらの問題は、社会通年が変化していけば十分に受け入れられていく要素はあります


   ・子供が成人する際には、母親は70歳超 --- 養育して(養って)いけるのか

→一般的な一人の子供にかかる養育費、教育費を捻出できる年齢ではない(ただし貯蓄があればクリアできますが)。そうなると特別な富裕層にしか実施できない治療ということになります。また、この子供が成育していく間に親が亡くなる確率は、通常の親の年齢に比較するとかなり高くなると予想されます


●遺伝上の観点から

   ・日本では実施例がまだまだ少ないですが、これがちょっと多くなった場合、知らない間に遺伝上近親者間での結婚や出産が増加してしまうことが危惧されます(劣性遺伝疾患の発生)。

→この問題も卵子提供者の出自が明確に管理されている必要があると思います。


●産科・周産期における問題

  ・胎児、新生児に染色体異常や遺伝疾患が見つかったり発生した場合に産んだ親がどう対応するのか(中絶、出産も含めて、またその際の心理ケアの問題)

  ・万が一母体に後遺症が残るトラブルや母体死亡が起きた場合の対処(自己責任ではありますが)


●出生後の両親の形

  ・子育ての中で両親が離婚したり、父親が亡くなったりした場合、通常の対応と同じとなるのか?

→遺伝的に自分とは繋がりが無いことに母親に何ら異議が無ければ全く問題ありません


などなど、、、考えればきりがありません。


技術的には簡単にできることは明白ですから、やればできるのは(ART治療従事者は)誰でも知っています。


でも社会的問題は、法的問題も含めてまだまだ追いついていないのが現状です。今回の野田さんの出産は問題提起としてはいいチャンスとなり得るかと思います。


これを機会にしっかりとした論議がなされることを期待しています。


現状ではまだまだ、自然な形での結婚と自然な形での妊娠、自然な形での家族形成が殆どです。


体外受精での妊娠、出産がようやく市民権を得つつあるところですが、卵子提供、代理母などの問題はまだまだ一般的ではないようです。


最後に一言。現状で。


「女は子供を生む道具では無い」という言葉がありましたが、、、、


「卵子は子供を授かるための道具では無い」と。。。。