門前通り沿いの愛宕町付近にある食事処で、町の普段使い食堂らしい素朴な建物が目を引く。ラーメンなど麺類をはじめ丼ものや定食が中心で、和食洋食中華いずれも守備範囲の大衆食堂。ローカル麺料理の白河ラーメンも扱っていて、意外にも白河駅付近で食べられるところが少なく、貴重な店でもある。

品書きには特に「白河ラーメン」との記述はなく、迷った上でワンタンメンをセレクト。醤油ベースの縮れ麺が特徴で、見た目は喜多方ラーメンに似ているが、こちらは大正10年に、横浜で修行した起源の店舗「亀源」が開業したから、歴史はやや古い。現在は市街に100軒ほどの店が連なり、ご当地ラーメンとして来訪客にも広く知られるようになった。

プルプルの加水麺に、鶏ガラと豚骨の出汁が効いたスープがよく絡み、あっさり味ながらどこかホッとする。ワンタンの食感もふっくら柔らかで、地味あふれる優しい味わい。肉汁があふれんばかりにパンパンの餃子とともに、あっという間にさらっといただけた。

昼時やや前に店に入った時はさらりと席が埋まっていたぐらいが、食べ終えた頃には店頭に数名の行列ができるほど。客はほぼ顔馴染みらしく、地域に根付きつつ人気のほどが伺える、大衆食堂のご当地ラーメンである。