エディオンピースウイング広島は、J1リーグサンフレッチェ広島のホームスタジアム。広島中央公園を整備して建築され、繁華街の紙屋町に近く広島電鉄ほか新白島駅、横川駅など交通アクセス至便な街中スタジアムとなった。

外観は名の通り翼をイメージしており、本川の対岸から見ると両翼が展開しているのが分かる。スタンドの四角がオープンになっていて、開放感があるのも特徴。ゲートパークが建った市民球場跡も建設候補地の一つで、そこに建っていたら南側に原爆ドームや平和記念公園が見られた構造だったとも。

Hiropa側のバックスタンド入り口で目を引くのが、横幅8m62㎝、高さ2mの巨大壁画「Peace Wall」。『キャプテン翼』原作者の高橋陽一氏が特別に書き下ろした作品で、ワールドユース優勝の際の翼くんの「サッカー世界平和宣言」のスピーチの場面が描かれている。背景にはこの壁画オリジナルで、ピースウィングほか原爆で被災した当時の広島の街の様子がリアルに描かれ、かなりのインパクトがある。

見どころはオフィシャルショップ、サンフレッチェと広島サッカーの歴史を中心に展示したサッカーミュージアムなど。バックスタンド側は数列分の座席が常時開放されているが、この日はあいにくメンテ中。また2階南側のコンコースには、スタジアム建設の際に寄付を行なった企業や市民の芳名板が配され、カープの樽募金を思わせる広島らしい伝統を感じさせる。個人の寄付の総計は6億4000万円で、30億のエディオン、20億のマツダは社名が大きく掲載されていた。

また、かつて広島城の周辺は陸軍関連施設が広がっていて、スタジアム建設の際に輸送部隊「中国軍管区輜重兵補充隊」の遺構が出土して話題になった。通りを挟んで南側の本川端に、軍馬の施設の敷石とアスファルトの一部が保存され、スタジアムがあった地の歴史をとどめている。

スタジアムの理念である、平和を考える題材も随所に見られ、賑わいの創生と歴史の継承が共存している施設である。