愛知県の瀬戸は言わずと知れたやきものの町で、窯元や陶器店がが集まった風情ある町並みが広がっている。

歩いたコースは名鉄の尾張瀬戸駅を起点にして、陶祖を祀る深川神社と陶彦神社、ローカルアーケードの銀座通り商店街と末広町商店街、瀬戸川プロムナードを経て漢詩で陶祖を讃えた六角塔がある陶祖公園、陶片を壁面にあしらった窯垣の小径まで。

市街の中心に瀬戸川が流れ、材料の土をとった山が南北に迫る。歩道の装飾や斜面のあしらいであちこちに陶片が使われ、民家も塀や玄関周りに陶板を飾るなど、南欧っぽい明るさも感じられる。各所に木造や蔵造りの建物が懐かしい、窯元や小売店が見られ、ややひっそりした静かな印象。瀬戸焼は「本業」と呼ばれる実用品が中心で、現在は郊外の大工場での生産が主となっているという。

いちばんの見どころは窯垣の小径で、小道に迫る斜面の陶片アートは、かなり本格的。瓦をはめ込んだり皿をあしらったり、壺を埋め込んでみたりと、三次元の陶器が二次元に転じてデザインになっているのが、なかなか興味深い。ちょうど西日が差す時間帯で、赤く染まる陶片の鮮やかさもインパクトがある。

また、瀬戸は藤井聡太棋士の出身地で、街を挙げての応援がものすごい。アーケード商店街にはバナーをはじめ、棋譜の掲示板や生中継スポットもあちこちに。藤井氏や将棋にあやかった、商品やグルメもたくさんあり、将棋の街としての活気もなかななものだ。