沖縄が発祥とされるこの料理は、メキシコのタコスの具を米飯に載せた、ボリューミーな折衷料理。沖縄がアメリカ軍の統治下の頃に持ち込まれたタコスをベースに、金武の基地の前にあった食事処の店主がアレンジして、生まれたとされている。

ルーツの店の味を継承するのが、ゲートのそばに構えるこの店。1階にテイクアウトのカウンター、2階がイートインスペースで、昼時は町の人や近隣からクルマで訪れる人、観光客でかなりの混雑の人気店である。

料理そのものは、ご飯に味付けしたひき肉(タコミート)と、レタスやトマトの野菜、好みでチーズなどをのせて、ケチャップや辛めのサルサソースをかけまわす、タコス+ご飯のシンプルな構造。だが特筆すべきは、凄まじいばかりのボリューム感。券売機で買ったチケットをカウンターに出した途端、トレイにのったプラ容器入りのタコライスがドン。

ドカ盛りのライスの上にタコミートがまんべんなく敷かれ、上には千切りキャベツの大山。その高さは5〜6センチはあり、蓋が閉まらないどころか、キャベツは頂から裾野へ崩れ落ち、トレイに至るまであふれかえっている。米兵たちが安価でお腹一杯食べられるのが、発祥時のコンセプトなだけに、インパクトはある種暴力的でもある。

見た目からビッグテイストな味をイメージしたが、これがなかなかまとまりがよい。ご飯と生野菜をタコミートがうまく繋ぎ、ケチャップの酸味も相まって、ボリュームの割にはスプーンがスイスイと進む。エスニック風混ぜご飯のようで、量は米兵向けながら味は日本人に合っているよう。半分ほど食べたら、ご飯とソースと具材を混ぜ込んでいただくと、ヘルシーなケチャップライス風でさらに食が進む。

食べきれない分はそのままプラ容器ごとテイクアウトできるのもありがたく、ホテルで夜食にいただいたら味が染み込んでいてさらに別の旨さに。満腹になり夜の町には繰り出せなかったが、また違った沖縄フードを二度楽しめ、ちょっと得した気分にも?