宮城県の石巻は、仙台駅から仙石線で1時間ほどの港町で、金華山沖の漁場を有する漁業が盛ん。北上川旧河口沿いに開け、日本製紙の工場も立地するなど、宮城県2番目の都市並みの規模が感じられる。

漫画家の石ノ森章太郎先生の出身地で、散策はキャラのオブジェが配されたマンガロードが中心。石巻駅から駅前大通りと立町通りのオブジェを網羅して、市街の中程の小山に建つ羽黒山鳥屋神社へ。再び市街に下り酒場街の寿町通り、旧街道の金華山道、再び立町通りに出てモダンな洋館の観慶丸商店を見学して、メインのアイトピア通りへ。地産品の商業施設のいしのまき元気いちばをぶらついてから、市街南側の日和山公園へと登った。

マンガロードはサイボーグ009を中心に、仮面ライダー、がんばれロボコン、キカイダーなど、昔見たキャラが並んでなかなか楽しい。境港の水木しげるを筆頭に、氷見の藤子不二雄、敦賀の松本零士、最近では鳥取の青山剛昌など、この手の展開で成功した町おこし例が増えている。外国人の姿も多く見られ、漫画とアニメは世界的知名度な観光資源なのを実感した。

また、石巻は東日本大震災による津波の被害を大きく受けている。町の各所に津波到達地の表示や海抜の数字、避難所の案内板が見られ、今もなおその爪痕がくっきりと残る。商店街を歩いていても、昔ながらの建物が新築のプレハブに、次第に更地だらけになるなど、立地によって命運が分かれたのがよく分かり、なんとも生々しい。

日和山公園から南の海側は、かつての市街地が津波で一掃され、ほぼ全域が震災祈念公園に整備されていた。今後の防災面を考慮して、海に近い地区は居住が制限されているからだろうが、公園の高台から見下ろすとかなり殺風景な印象を受けた。