八戸は青森第三の街で、前半は陸奥湊駅を起点に港湾地区を歩いた。

陸奥湊は駅前朝市で知られ、古い体育館のような建屋の下で裸電球が灯る中、「かっちゃ」こと市場の母ちゃんが魚を捌いたり売ったりする、典型的な港町の市場風景が残っている。庶民派地魚がメインでサバや赤魚や油目やヤリイカにハタハタにアナゴ、季節柄ではナメタガレイなどカレイ類が目立ち、タラは一尾売りや白子のみの販売。ほかカキやホタテやツブや赤貝など貝類も。鮭などを店頭で焼き場内でごはんと味噌汁とでいただけるスペースは、観光用アイテムかと思いきや意外に地元の方の朝ごはんで賑わっていた。

煉瓦蔵が目を引く八戸酒造、豊漁祈願の磐座がある大祐神社に寄り、市街を流れる新井田川沿いに出ると、沿岸の川港に係留される中〜小型の漁船が続く。河口には川口神社が鎮座し、江戸期に漁業で栄えた港湾の役場だった十分一役所の跡もある。河口の高台の館鼻公園には展望タワーのグレットタワーが建ち、西側には新井田川越しに八戸第二魚市場ほか、出光興産のタンク群や東北電力の発電所といった工業港の表情も見られる。東は夢の大橋付近に、館鼻漁港と第三魚市場方面も遠望できる。

みなと体験学習館でかつての湊地区の様子をジオラマやパネル展示で学んだら、夢の大橋をくぐって館鼻漁港地区へと向かう。八戸の漁港は4地区に分かれ、館鼻地区には館鼻漁港と第三魚市場が整備されている。埋め立てで作られたため係留岸壁はとても広々しており、日曜には大規模な朝市も開かれるという。巻網と沖合底引きが主な漁法で、水揚全国トップクラスのイカ、ヒラメ、キチジほか水揚上位のタラ、サケ、カレイ、ブランド魚のサバあたりが主な漁獲。岸壁には大型の漁船が目立ち、集魚灯を備えたイカ釣り漁船やクレーンと先引き船を装備した巻き網船がずらりと並び壮観だ。

全魚連や水産会館の建屋や水産加工会社の建物が並ぶ先が第三魚市場で、最新型の閉鎖型の建屋が岸壁に面している。港湾地区のさんぽはここまでで、駅へ戻ったら本八戸へ移動、市街の方も歩いてみましょう。