そば処の信州は駅そばのレベルも高いと聞くが、松本のイイダヤ軒といえば知る人ぞ知る名店である。かつてはホームにスタンドがあったのだが、今は駅前のビルに店舗があるのみ。品書きには「○○うどん(そば)」との文字はなく、麺とタネだけが並び、好きに組み合わせるのが流儀で、ネギの盛り放題も今時にしては珍しい。

一番人気のタネはかき揚げで、面積がでかくゴロゴロのゲソがボリューム満点。食べ進めても汁に浸って崩れることなく、最後まで姿をとどめ天ぷらとしての矜持を保っているのもいい。丼の大きさも麺の量も通常の駅そばの1.2倍はあり、500円ちょいでかなりお腹が満足できるのも嬉しい。ほか山賊焼や山菜も、当地らしいトッピング。

長めのカウンターは地元客であふれ、女性の姿もあちこちに。その普段使いな様子に、松本市民お墨付きの味なのが伝わってくるかのようだ。