佐世保港の近く、やや閑散とした港湾街の一角にある店で、昔ながらの洋食レストランらしい格式が感じられる店。熱帯魚の水槽が中央に据えられた店内は広く明るく、ウェイター・ウェイトレスという呼び名が似合わしいパリッとした所作振る舞いの給仕の方が往来。場所柄アメリカ人のお客も見られ、応対にも「サンキュー」など英語が混じる。

レモンステーキはバーガーと並ぶ佐世保のご当地洋食で、戦後にアメリカの肉食文化を日本人向けにアレンジ、おろしなど和風のソースにレモン果汁を加えた、さっぱりした味わいが特徴とある。運ばれてきた時点ではレアで、鉄皿の余熱で好みの焼き具合に仕上げる仕組み。肉は薄切りのため熱が通りやすく、ほのかに赤みがあるぐらいでいくと柔らかくジューシーに、熱が通ってもふっくらしていて肉の味わいがしっかり出ている。

この店では雑穀米でいただけ、のせて肉巻巻きにするとご飯との相性がバッチリ。鉄皿に残ったソースと肉汁はご飯にぶっかけて食べるのも流儀で、米食文化の日本向けのアレンジがこんなところにもされているような。値段も手頃で庶民の味方、佐世保に根付いているのを実感できるローカルステーキである。