標高の影響から、富士山五合目は物価が高い。ペットの水は200円、ビール350缶は400円、ラーメンやカレーも千数百円。なので今回は五合目での食事は避けるつもりだったが、こちらは1000円以下の品揃えが充実。しかも富士山モチーフの映えものではない、きのことか山菜とかけんちんとかの素朴な文字が手書きの品書きに踊っていては、ひと息入れぬわけにはいかない。

名前から頼んだこちら、シャキシャキのキクラゲと甘めに煮た分厚いシイタケが文字通り山の味。うどんは硬派でゆでキャベツがのっているのが、吉田うどん風でもある。霧で割と冷え込む中、食前に出た温かいお茶とお茶受けの山くらげの煮物がまた、嬉しい。

奥庭散策客向けの山小屋的雰囲気の店で、おばちゃんの応対も家庭的。レストハウスが建ち並ぶ五合目の手前で、ひと息つける一軒である。