島原城堀端にある白壁古民家風の料理屋で、「六兵衛」「寒ざらし」と並び名前が妙に引っかかる島原ローカルグルメの一つ。有明海に面した立地から、「貝雑煮」との勘違いもあるあるらしい。由緒は島原の乱を率いた天草四郎にあるとかで、籠城中の兵糧だった餅に信者の農民や漁民が持ち寄った地産品を加えた雑煮が起源。戦時食ながらなかなか豪華で、栄養価も高く士気の向上にもつながったという。

餅は即エネルギーとなり、高タンパクの鶏肉と穴子に卵焼き、海の幸はちくわとかまぼこ、精進的な高野豆腐と椎茸、さらに野菜は三つ葉にれんこんに白菜にごぼう。これらのいいダシが出た汁が芳醇で、思わずご飯をいれたくなるほど。熱暑の日中に土鍋が熱々のをいただくのもよく、暑気払いや滋養にいかにも効く感じの逸品である。