歩いてみると、ピンポイントで蔵造りの商家が見られる山形市街。明治期に商業が栄え荷の防火が目的で、市街には150棟ほど現存しているという。十日町商店街に近いこちらも大正10年頃築の、米や肥料の荷蔵。学生たちによるヤマガタ蔵プロジェクトにより食事処に改装、内装はレトロながらしゃれた造作が随所に見られる。

カレーやスイーツなど軽食喫茶がメインな中、オビハチ軽食セットは地産の食材を用いた、古くから家庭に食べ続けられているようなおかずが三品。シイタケ、ごぼう、タケノコ、生揚げ、こんにゃくが入った庄内豚の炊き合わせは、脂身の甘さで豆と雑穀のごはんが進む味。夏野菜のトマト煮はパプリカ、しめじ、ズッキーニ、玉ねぎ入りの冷製で、イタリアン風の味わいにクラフトビールのスプリングバレー芳醇496がピッタリ。ヌルヌルが疲労回復によさげなツルムラサキのあえもので、地元男山酒造「男山」つららぎ冷用酒を追加。

お姉さんの接客はどこか不器用そうながら愛想よく、かえって素朴さが伝わり心地よい。花笠踊り観覧の前、まだ日があるうちに下地を作るのにもってこいな、山形情緒あふれる蔵の店である。