越前大野を歩いた午後は、加賀温泉へと移動。加賀四湯の一つ・山中温泉は名の通り山間の湯で、大聖寺川に沿って大規模な温泉旅館が建ち並びます。芭蕉ゆかりの湯でもあり、和食の鉄人の道場六三郎氏も当地の出身なのだとか。

見どころは大聖寺川の渓谷・鶴仙渓で、温泉客の湯上りさんぽの遊歩道。あやとり橋や大黒橋など変わった造作の橋や、この湯を訪れた文人の歌碑も見ものです。温泉町の中心街は「ゆげ街道」との名で古い町並みに整備され、町の中を歩いてもらう仕掛けもあちこちに見られました。

温泉街の中心は共同湯の「菊の湯」で、地元の人たちが集まる憩いの湯。男湯と女湯で建物が分かれているのが珍しく、女湯に隣接する山中座は山中節の実演が行われる劇場にもなっています。前にあるカラクリ時計塔からは、正時に人形とともに山中節の演奏も流れます。

加賀四湯の中では駅からいちばん離れていながら、温泉街の情緒と活気がある湯。北陸新幹線延伸後の賑わいにも、期待できそうです。