紀伊勝浦からの帰りは名古屋への特急列車の本数が少なく、いったん新宮まで出たらちょうどいい時間の名古屋行き高速バスがあるので、昨日歩いた街へ再来。乗り継ぎに小一時間あり、駅前のこちらの店で早めの夕食がてら時間をつぶした。店名の徐福は新宮に上陸した中国人の名前で、不老の薬をつくるため来日、地元の人たちに様々な文化を残した功績がある。

サンマ寿司は、高菜の葉でご飯を巻いた「めはり寿司」と並ぶ紀州の名物寿司で、寿司のルーツである魚とご飯を漬け込んで保存用に熟成させた「なれ寿司」の系譜をたどる寿司。サンマを丸ごと一尾使い、ご飯とともに押してやや発酵させ程度の「早なれ」なので、匂いと酸味が強烈無比な本家に比べると相当食べやすい。脂ノリノリの根室沖や三陸沖のサンマに比べ、紀州沖に来る頃には産卵後と遠泳後で消耗、あっさりしているのがかえって押し寿司向きとも。

ビールに合わせて身をつまんでいくにつれ、悩むのが尾と頭の部分。硬いのでともに先端は残し、支払いの時にあれはどうするのが流儀かお姉さんに聞いたらそれが正解とのこと。地元では食べる人もいるが、「でも固そうに食べています」とか。勝浦のマグロに続き、ご当地名物をなんとかカバーできて何よりな、乗り換え間際の一軒である。