ビジターセンター付近はウッドデッキ風に整備され、途中に設けられたベンチからは遊覧船の乗り場方面を見渡せる。小石浜から湾を一望したら、日立浜の高台に位置する浄土ヶ浜ビジターセンターへ。浄土ヶ浜地区の自然環境や景観を紹介、散策に役立つ情報や知識が得られる施設である。1階の浄土ヶ浜ガイダンスルームには、臼杵半島周辺の模型が展示。蛸の浜からトンネルで浄土ヶ浜へ、入り組んだ湾に沿ってここまで歩いてきた様子がわかる。

2階の三陸ガイドでは、津波と漁業に関する展示が。三陸地域は30〜40年に1度の割合で大津波が襲来しており、三陸沖の日本海溝とリアス海岸のため、明治三陸地震津波やチリ地震の津波など古くから被害が大きい。三陸沖はプランクトンを運ぶ寒流の親潮と、回遊魚を運ぶ暖流の黒潮がぶつかり、山間から植物性プランクトンが流れ込む優良な漁場となっている。地形も多彩で、世界的に見ても魚種や漁獲量が豊富。施設は三陸復興国立公園の中核施設でもあり、三陸の自然観光の拠点的施設でもある。

ビジターセンターから坂道を登ったところには、岩手県立水産科学館ウォリヤスが。水産業が盛んな岩手県の海や魚、漁法などを紹介する水産科学館で、入口すぐにはイワナとヤマメや、ヌマガレイ、ホウボウ、クロソイ、ブリの幼魚ショッコなど、岩手の淡水魚と海水魚の水槽が並ぶ。ジオラマは初夏の午前中の日出島の岩場をモデルに、岩場から1000mの海底を再現。 漁具の展示では磯建て網、ワカメやウニ、コンブ、アワビを狙う磯浜漁の道具や、深部のイカを狙う自動イカ釣り機などが。近海やトロール・延縄船に用いる漁具も並び、ジャイロコンパスや六分儀などの航海具も展示されている。

宮古の主要漁獲であるサケやアワビ、ワカメの生態などがコーナーを設けて紹介され、サケはシロザケ、ギンザケ、カラフトマス、マスノスケ、ベニザケ、サクラマス、ヒメマス、ヤマメなどの標本が。マスノスケはキングサーモンで2mになる大物もあり、春先に定置網で漁獲される。サクラマスは真マスの別名で、3〜6月にかけて定置網で漁獲される。地元でサクラマスと呼ばれるのは一般的にカラフトマスと呼ばれる小型のマスで、これも春に定置網で漁獲される。

隣接して孵化放流の用具もあり、採卵台で採取した卵を水を満たした孵化槽で孵化させ、浮上槽で放流まで稚魚を管理する仕組み。三陸の海の豊かさを、深く理解できる施設である。ビジターセンター前から宮古駅行きのバスで市街へ、お疲れ様でした。