湊大杉神社の鎮守の山が聳える光岸地の麓には、現在も古い市街が残る。魚市場のある出崎埠頭への入口には、新たに建造された防潮堤が構えている。埠頭への開口部には二層のステンレス製横引きゲートの、鍬ヶ崎1号陸閘が。幅19.1m、扉の高さ4.5m、扉の重量は55t。閉鎖所要時間は3分18秒。登ると宮古港周辺の鍬ヶ崎地区をめぐる防潮堤が見渡せ、9つ設けられた陸閘のいくつかも見える。背後の光岸地の高台には宮古漁協ビルが、鍬ヶ崎と出崎埠頭の漁港施設を見下ろして建っている。

宮古市魚市場は敷地面積4030平方m、建屋は鉄骨造平屋建。臨港通りから出崎埠頭へ移転、湾に面していて建屋の半分ほどの高さが浸水した。北側が水揚げ場である着岸壁で、建屋は岸壁の側のみ開放、衛生面に配慮している。漁法は主に定置網と沖合底曳網、サンマ棒受け網で、底曳網漁の漁獲はヒラメ、タラ、ソイ、ドンコ、アンコウ、毛ガニなど。水揚げされた漁獲はスチロール箱やプラスチック製のトロ箱が次々に上がり、フォークリフトで荷捌き場へと運ばれていく。

この時期の主な魚介は、真ダラは12月〜2月に産卵で沿岸に戻ってくるのを、定置網などで漁獲。 サケはシロサケで、秋に回遊してくる脂ののった秋サケは、定置網で漁獲される。秋冬の底引網ではカレイはナメタカレイ、赤カレイなど。キンキは底引きのほか、釣り物は質がいい。ミズダコは通年漁獲され、東京市場でも人気が高い。岸壁から湾を見渡すと、操業を終えて停泊する漁船が。湾に沿って竜神崎付近まで、延々と防潮堤が続き、漁業施設などは見えない風景となっている。

魚市場の向かいには、道の駅シートピアなあどが。地元野菜や海産物、みやげ物などの販売所、レストランを備えた総合交流施設で、館内では産直の農産品や、地元水揚げの鮮魚や塩干、水産加工品が揃う。Tシャツなど、魚介をデザインした雑貨も。2階のレストランでは話題の牛乳瓶詰め海鮮丼の具「瓶ドン」も販売。建屋の南側の岸壁は、地元客の格好の釣りスペースで、正面はちょうど閉伊川河口で建設中の水門の全景が見渡せる。