引き返して朝市通りからわいち通りへ、ともに重蔵神社の参道で、大国主命と能登を平定した父神の天冬衣命を祀る。加賀前田氏の庇護を受けた由緒もあり、朝市と輪島塗の守り神でもある河井町の鎮守だ。境内末社七社巡りにはスポーツ芸能のたぬき天神や、地震避けの要石なども。縁結びと子育て祈願の子安社は、神社の由緒にも関連が。堂には手のひらを描いた絵馬が掛けられている。石鳥居を見て玉垣沿いに回り込むと、輪島温泉郷の足湯の湯楽里が。隣接の輪島塗地蔵菩薩はお湯掛け地蔵で、地場産業振興のご利益もある。

重蔵神社の石垣は高さ2mほどあり、地元の崇敬を受けた印。向かいの輪島工房長屋は、火災で焼失した寺院の跡に造られた職人長屋を模しており、漆器の販売と職人工房、作家や自営を目指す人の工房が連なっている。通りの突き当たりは、河合浜に面したマリンタウン。輪島キリコ会館では、8月に輪島周辺の4地区で連日行われる「輪島大祭」で巡行される曳山・キリコを展示する施設。キリコとは御神輿に随行する輪島塗の御神燈で、厄払いや豊作豊漁への感謝を込めたもの。4つの祭りのうち、重蔵神社の大祭が一番多く見られる。

壁面のシルエットにはキリコが巡行する様子が描かれ、背面の屋外ではキリコ担ぎの体験や、民俗芸能御神乗太鼓の体験も。鬼や亡霊の面に海藻の髪で太鼓を打ち、上杉軍を撃退した所以がある。河合浜に面した護岸には釣り人が集まり、左手は輪島港越しに竜ヶ崎がある天神山方面、右は千枚田の白米から曽々木へ、能登北岸を遠望できる。