盛岡の夜のアテンドは、地元に地に足付けた剛腕ナビゲーターに任せておけば間違いなし。の一軒目は岩手食材のビストロへ。南欧風の開放感ある店内で、多様性をコンセプトにした岩手県産食材の料理が味わえる。

この日はドリンクは地元のクラフトビールのベアレンにして、肉料理をアラカルトで合わせた。パテ・ド・カンパーニュを前菜に、ソーセージはチキンのヴァイスブルスト、羊、赤身がうまい短角牛、花巻の銘柄豚の白金豚の盛り合わせ。肉の旨みが引き出される絶妙な熱加減と塩加減の白金豚のグリルで、ベアレンがクラシック、シュヴァルツと進んでいく。

締めのパスタはイカスミで、ソースではなく麺に練り込まれているのが珍しい。具はイカ、カニに焼いたホヤがたっぷりで、加熱して甘さと磯の香りが抑えられた分、香ばしさと甲殻類と貝類の中間のような魚的な食味が膨らみ、山形県村山市の「十四代」の旨口を相乗する肴として合う仕上がりとなっている。

岩手はこのように、地場の食材を東京や海外で修業したシェフが手をかけ、一段クオリティを上げた料理店が多数存在する。こちらも旅の目的として訪れ、味わうに値するスペックで、地に足ついた県産食材が魅力的に花開いている。