朝市通りの西寄りにある食堂で、中華料理と焼肉が中心。入口にはメニューの写真がコルクボードにずらりとピン留めされ、丼物に麺類が充実している。朝市通りにありながら豪華海鮮丼的なものとか持ち込んだ魚の料理とかはもちろん、刺身とか焼き魚もないのが、地元の普段使いらしい潔さ。12時を回ると工事関係者や漁業関係者が、連れ立っていつもの昼飯をNHKのニュースを見ながらかっ込みにくる町の飯屋である。

さりげないローカルさとして、麺と丼に能登名産の魚醤「いしる」とつく品があり、メニュー写真群の上に「スープの塩は珠洲の天然塩」との但し書きも。ならばといしる中華丼と半ラーメンの組み合わせに。中華丼は見た目はキャベツやもやしが具の大勢を占め、トッピングのワカメに漁港らしさを託したシンプルさ。ラーメンも澄んだスープに縮れ麺、ネギナルトチャーシューの原理主義的スタイル。

ラーメンからいくと海塩の塩味がまるく広がりがあり、縮れ麺に旨みをうまく伝えている。中華丼はあんに、くさやのベクトルの発酵香が充満しており、町の食堂で広く普段使いする野菜を一段押し上げる。何といっても、ご飯の進みをよくすることといったら。

窓の外には朝市の露店の撤収風景が臨め、その先に永井豪記念館のマジンガーが仁王立ち。観光的なハレ風景を眺めながらの地に足がついた中華に、ローカルなアクセントが効いた逸品二品である。