観光地のフードコートや道の駅で、今風に創作されたご当地名物を見かけることが多いが、一つ踏み越えると「あざとさ」が触る仕上がりになる。地元の名物を推すことと、訪れる客に媚びることは実に紙一重で、ではボーダーか何なのかと問われて明確に答えるのも難しい。現地の雰囲気、自身がめぐったストーリーに左右されることも多く、同じ切り口でもここではよし、あそこではうーむなんてこともある。

今日の道の駅氷見では氷見バーガーとか氷見牛まんとかイワシでだしをとったイタリアン風ラーメンはうーむなのに、このカレーはよしに。こちらもルウにイワシ、具材に地場野菜を多用、そしてイワシのすり身がトッピング。甘めのルウにそれぞれの食材の味がうまくのっかって、魚の街の完全体カレーに隙なく出来上がっている。

思えばカレーは漁師の常食で、氷見は飾り蒲鉾など練り物食文化もある。要はよそ行きの創作ではなく、その地の常食に何かしら引っかかっていれば、うーむではなくポンと膝を打って、ついでに舌鼓もすんなり打てるってことなのだろう。