伊勢橋のたもとから、並行して市街を流れる湊川沿いへ。沿道に氷見の古い民家が建ち並び、かつては上流の水田でとれた米を水運で運んでいたという。沿道の方々が植え込みや花壇を手入れしており、花々が鮮やか。大通りから外れており、静かな散策が楽しめる。橋の袂の延命地蔵尊は餅喰伝説ゆかりで、本尊は上日寺に祀られている。橋を渡ると上日寺の門前の通りで、ひなびた飲食店が並ぶ。

山麓の突き当たりに森が近づくと、上日寺の境内へ。創建時の観音菩薩の前に植えた大銀杏は、高さ36m・幹周り12m、秋には1000ℓの銀杏をつけ、周囲には銀杏拾いの人たちが集まっている。上日寺は白鳳年間の創建で、江戸時代には加賀前田家の祈願所となった由緒もある。山号の朝日山は日の出遥拝の聖地から名付けられ、日見→氷見の地名の由来との説もある。

本堂には本尊の不動明王、大日如来などが祀られ、薬師堂に祀られた延命地蔵は、地蔵が餅を食べればお前にも与える、と娘をいじめる継母の前で食べてみせ、改心させたとの伝説が伝わる。本堂の横の観音菩薩冷水は朝日山の湧水で、修行者が沐浴した由緒が。背後野高台には観音堂が建ち、堂内には創建当初から千手観音像が祀られている。堂に飾られた奉納画は、船が描かれ合戦図のよう。あたりは深閑とした雰囲気で、海の町の氷見の中で、山寺の風情が漂う一角である。