氷見駅は大正元年に開業、昭和33年築の駅舎が現役だ。氷見は漁業が盛んで定置網発祥の地でもあり、駅前の越中式大敷網発祥の地碑は、市民の絵による越中氷見寒鰤と格闘する漁師を題材にしている。藤子不二雄A氏が市内の出身で、氷見のサカナ紳士録には氏が8種の魚介を、ユーモラスに描いている。駅前には映画館の氷見キネマがあり、ミニシアター系の作品を中心に上映している。

バス停の、市街地周遊の怪物くんバスを見送り駅を後に。駅前から伊勢大町方面へ向かう通りも通称「怪物くん通り」の名がつき、キャラが潜水具や魚介に乗るなどさかなとコラボしている。駅前には光明石温泉の露天岩風呂がある、銭湯の有磯の湯も。沿道の街灯はランプを模した、モダンな雰囲気。松竹堂のし店には、店頭に水引細工が飾られている。今川焼きの店の手前の角を入り、路地のおでん屋の先に構える伊勢玉神社は、749(天平19)年に越中国守大伴家持が社殿を造営した、氷見の鎮守。天照大御神をはじめ、多くの神々を祀っている。

伊勢玉神社の参道の突き当たりの国道415号は、越中浜往来とも呼ばれ、間口が狭い平入の町家が並ぶ。氷見の町家は玄関を入ると、左手にはミセと呼ばれる小部屋、奥に向かってオエ、ツギノマ、明かり取りのための中庭の先は台所へと続く、奥へと長い造りが特徴だ。県内の地酒を揃える湊酒店は、もとは造り酒屋。通りは町の中心街の、本町へ通じている。