高岡駅から氷見を結ぶJR氷見線は、富山県で最初に開通した鉄道。オレンジの国鉄型気動車が健在で、氷見まで所要30分ほどで結ぶ。同じく国鉄型の気動車が走る城端線のホームを見て,高岡駅を後に。車内も国鉄当時のままのボックス席で、富山湾側には立山連峰の山岳展望案内も貼られている。ひと駅の越中中川で高校生がほぼ下車。能町駅はかつてのコンテナ貨物駅で、側線の跡が多い。左の住宅街の先に紅白の煙突がそびえ、中越パルプ高岡工場のプラントの横を走行。小矢部川渡ると、右にアーチの伏木港大橋を臨む。伏木駅は前身の中越鉄道が開業した際の終着駅で、国鉄時代の案内看板に木造モルタルの赤屋根の駅舎が現役だ。

伏木駅の先は左右に民家が迫り、越中国分駅からは氣多大社方面の里山が見える。駅を出ると、まるで富山湾の中へと走っていくかのようで、岩崎ノ鼻直下に浮かぶ岩を間近に見て、能登半島を遠望しながら湾に沿って走っていく。右にカーブした先に、松の木が生える女岩。見送りながらさらに進んだ先には、源義経が落ち延びる際、雨上がりを待った義経岩もあり、あたりの雨晴海岸は松尾芭蕉が『奥の細道』に詠んだ景勝だ。海岸最寄りの雨晴駅には、女岩と雨晴海岸を描いた駅名標も。高岡行きとの行き違い待ちで、景勝を眺めながらしばらく停車する。

雨晴駅を出発した列車は、やや内陸の松林の中を走る。付近は砂地が広がり、松林は飛砂地が防止林になっている。島尾駅を過ぎ、仏生寺川を過ぎると漁師町風の民家が集まり、側線が多数ある氷見駅へと入っていく。一面のホームがある行き止まり式の駅で、列車はしばらく停車した後、高岡へと折り返していく。ホームの先の車止めと、イラスト入り駅名標を見て改札を出ると、観光案内所のそばの柱に大漁旗のデザインが目をひく。雨よけの屋根にも魚のオブジェがあしらわれ、玄関口からして魚の町らしさが漂ってくる。