富山市役所の前は彫刻が多く、「未来樹」は氷見出身の田中昭の作品。市街を横断する松川の両岸は、桜並木が続く散策路。松川べり彫刻公園に整備され、県内在住や出身の作家の作品が並ぶ。金の人形の彫刻「珠重吹」は、横山豊介作。川には松川遊覧船が運行しており、富山城址公園の松川茶屋から発着している。松川茶屋には滝蓮太郎記念館が併設、父親が書記官で富山に赴任した縁で、蓮太郎も富山県尋常師範学校付属小に在学した。『荒城の月』の舞台は、氏が初めて入った富山城とも。

富山出身の実業家で茶人の佐藤助九郎による佐藤記念美術館を見て、松川沿いへ。松川は神通川が大正10年に現在の流れに整備される前に、市街を蛇行して流れていた名残。かつては富山城の天然の外堀として、城を防御していた。千歳桜は十代藩主前田利保の御殿ゆかりの桜で、松川沿いの桜の起源とも。付近も彫刻が並び、大成浩の「空洞」越しに語らう人が。常夜灯の先には枯山水風の親水護岸があり、松川七橋の一つ七十二峰橋のたもとには、曲水に沿って永遠が続く。花のステンドグラスを欄干に配した橋からは松川を一望、日本の桜百選にも選ばれた眺めも、春には楽しめる。