再び本町通りへ合流、かつての武蔵国と甲斐国を結んだ秩父往還で、夜祭の屋台も巡行して曳き回しなどが行われる、秩父市街の主要道である。沿道には江戸から昭和期の商家や店舗が現存、ほっとすぽっと秩父館は、明治時代初期に建築された商人宿「秩父館」を活用した施設。秩父周辺の農産品が縁側で販売され、館内は囲炉裏や畳敷を残した休憩や貸スペースになっている。

隣接のイタリアン・トラゲットは、もとは昭和58年まで稼働した松竹秩父国際劇場の映画館をリノベした店舗。ほか街道沿いには織物「秩父銘仙」の問屋や、養蚕農家の名残をとどめる建物も見られる。ナマコ壁の建物の路地や、板塀の建物沿いの小道も趣あり、昭和初期創業のたから湯はかつては花街の利用者もあった銭湯。現在も懐かしいペンキ絵が残っている。

秩父神社からの道の先には、大正時代の秩父銘仙問屋・柿原商店の店舗と主屋を活用した、秩父ふるさと館が。現在は三つの外蔵を活かして銘仙など地産品の販売と、食事どころがある。ここから秩父神社手前の、2本の路地を散策。黒門通りはかつて絹織物問屋が買継商と秩父銘仙の取引をした出張所が並んでいた通りで、昭和初期の雰囲気を残す建物が軒を連ねる。泰山堂は築80年、カフェと印房になっている。一筋秩父往還寄りの買継商通りも秩父織物関連の建物が並ぶ小路で、別名出張所横丁。黒門通りと結ぶ、「風の小路」と呼ばれる路地が通っている。

秩父神社は秩父市街中程に鎮座する、秩父地方の総社。大鳥居をくぐり神馬舎、社務所の平成殿の前を通り、神門をくぐると正面に御本殿が構える。創建は2000年前で、徳川家康が再建した権現造の本殿、幣殿、拝殿が並び、知恵の神とされる八意思兼金命(やごころおもいかねのみこと)ほか四柱の神々を祀る。本殿には左甚五郎作の彫刻が施され、拝殿前の子育ての虎は家康ゆかりで親の4つの心得が。右側のつなぎの龍は東北の鬼門に彫った青龍で、北辰の梟は体は本殿・顔は北辰を向いて祭神を守護している。社域の北側には柞(ははそ)の森が広がり、東は傘鉾や屋台を展示して秩父夜祭を紹介する、秩父まつり会館がある。