高龍寺の先まで引き返したら、函館山の北側の山裾を横断して、元町方面を目指す。斜面の坂道と直交していくため、元町までのすべての坂道から風景が見下ろせる。魚見坂を折れてすぐの登りは黄色やオレンジの土塀が鮮やかな寺町で、称名寺と実行寺と真宗大谷派函館別院と並ぶ。幸坂を登るとロシア領事館があり、あたりからは函館ドックの船渠やクレーンが見下ろせる。岸壁まで道がストレートに通る姿見坂、西埠頭へと続く常磐坂と弥生坂など、それぞれ街路樹も異なり個性がある。

住宅地の中を下る割と地味な佇まいの東坂を下ったところには、アメリカ領事館があった弥生中学の丸みある校舎、その斜め向かいには中華会館の赤煉瓦の年季ある建物が、通りに面している。この通りは木造や石造の洋館など古い建物が多く、右手にペリー提督来航記念碑がある公園が開けると、函館山の山頂方面とロープウェイも間近に見える。通りの先は基坂で、坂の途中にはバラのガーデンがある旧イギリス領事館、その上には元町公園を経て旧函館区公会堂の、バルコニーつきの建物がそびえている。港を見下ろす絶好の位置にある、函館を象徴する洋風建築である。

公会堂からの通りをそのまま行くと、土産店に並んで洋館の日和館、連絡船が正面に入る函館港のビュースポットの八幡坂の先には、遺愛幼稚園や函館修道院なども。その先が、函館を象徴する三つの教会が集まるエリア。白壁の函館ハリストス正教会の敷地から、尖塔と赤屋根の元町カトリック教会、上から見ると十字型の聖ヨハネ教会も合わせて見ることができる。カトリック元町教会はこの先の大三坂の途中から、聖ヨハネ教会はチャチャ登りの中腹から敷地内へ入れる。聖ヨハネ教会の正面入口を出た通りは、そのまま函館山ロープウェイ山麓駅へと続く。