焼きそば、かまくら、高橋優。駅の構内の広告や看板、案内所のパンフなどで推すこのあたりが、秋田県の横手を代表するコンテンツだろう。雪国の町を真夏にめぐると、さてどんな印象になるだろうか。

童ふたりが遊ぶ「かまくら」の像に見送られて駅を後に、駅前に伸びる阿桜大通りへ。横手の街路は樹木の名がついていて、羽後交通のバスターミナルの先をゆりのき通りへ折れる。沿道には地元向けの商店が並び、風雪に耐えたどこか雪国らしい構え。華々しい看板の菓子店に黄色の行燈のやきそば屋、花をずらり並べた種苗店ほか、レコード店のカシワヤ楽器は高橋優関連の品揃えが豊富で、店頭にもライブや本人の等身大ポスターで賑やかだ。

県道を渡ると光明寺児童公園の園地があり、県道は横手公園方面の緑の丘へ、県道沿いにも並木道が続く潤いあふれる散歩道が続く。菊人形祭などの横手の催事の絵タイルをたどりながら歩道をいくと、「馬口労町」とある行燈看板にたどり着く。江戸時代、馬の売買・交換が行われる場で、かつては遊郭があった歓楽街である。現在も市内屈指のスナック街で、沿道には華やかな行燈看板が連なるスナックビルが軒を連ねている。ビルの形や行燈のデザインが個性的で、思わず笑ってしまいそうな屋号も。