警固神社に隣接する警固公園から、天神地下街を経由して地下鉄空港線の天神駅へ向かい、隣の赤坂で下車。明治通りへ出ると、正面左に一面にハスが茂る堀が現れる。福岡城跡の三之丸の堀で、明治時代に勧業試験地となり、ハスが植えられレンコン栽培が行われたことに所以する。7月ごろからが開花期で、堀端の歩道からは葉と白い花が咲き広がる様が臨める。上之橋を渡りながら福岡タワー方面を臨み、上之橋御門跡から城内へ。入ったところは三之丸で、黒田二十四駒と呼ばれた重臣の屋敷があった場所である。三之丸はかつての平和台球場の跡でもあり、鴻臚館の遺跡が埋まっている。

鴻臚館は平安時代に築かれた外交のための迎賓館で、遣唐使や新羅の使節団、商客らを迎え入れた施設。当時は付近まで入江があり、遣唐使の風待ち潮待ちで使われたり、空海や最澄が渡唐の際に滞在したとも言われている。史跡は園地の中央が北館、もと球場の南側の外野スタンドの下あたりに南館があり、埋め戻した廊下や塀など建物の位置、礎石や柱の場所を示す表示がある。南館の中心部には鴻臚館展示館があり、遺構や大陸外交の歴史、交易品などが見られる。屋外の東側には法隆寺東大門を模した東門と庇付きの大型建物、西側には回廊と支房など、建物の基壇と礎石が展示されている。

建物の前はかつての平和台球場の外野スタンドで、フェンスに掲示された説明板にある発掘調査の際のスタンドの写真に、当時の様子を想像できる。あたりには盛土やコンクリートの基礎のような、遺構らしきものも。