スタートの鹿児島中央駅は、九州新幹線での初訪問。駅に隣接して、観覧車のある商業施設のアミュプラザがそびえ、市電への乗り換え通路には「マグマシティ」なる、エネルギッシュなキャッチフレーズが迎えてくれる。広場で目をひく「若き薩摩の群像」は、薩摩藩がイギリスへ派遣した19名の「薩摩藩遣英使節団」の像。作者は大久保利通像も制作した中村晋也氏で、彼らの留学経験は日本の近代化に大きく活かされている。

軌道敷が火山灰敷の芝生舗装の市電に乗る前に、バスセンター裏手の鹿児島中央駅朝イチを覗いた。桜島大根など地元野菜、キビナゴなどの魚介が並ぶが、今日は日曜であいにく休市日。気を取り直して電車通りを中心部へ向かい、高見橋で甲突川を渡る。河岸の緑地に像が立つ大久保利通は、西郷隆盛、木戸孝允と並び明治維新の3傑と言われ、明治政府の中心的役割を果たした人物。没後100年の昭和54年に中村晋也氏により造られ、フロックコートをひるがえし威風堂々と立っている。

甲突川下流側の左岸約440mの河川敷は「維新ふるさとの道」と名付けられ、西郷隆盛・従道誕生地、大久保利通生い立ちの地など、薩摩の偉人を輩出した場所が集中。ジョン万次郎や大久保利通らの使節団の航路図、島津藩の天文観測所の明時館(天文館)ゆかりの薩摩暦が園地に配され、大久保利通生い立ちの碑と西郷隆盛・従道誕生地には同型の記念碑「共建碑」が添えられ、東郷平八郎や大山巌など、近隣で生まれた同郷の偉人の銘も刻まれている。