大阪天満宮から曽根崎通りを進んだ桜宮橋付近には、東詰と西詰・北側と南側それぞれに、見どころが集まっている。西詰の北側は桜宮公園が整備され、2つの洋館建築が保存されている。バルコニー付き煉瓦造りの白い洋館は泉布観で、明治4年に英国人技師のウォートルスによるもの。かつての造幣局である造幣寮の応接用に、使われたという。隣の桜宮公会堂は昭和8年築、造幣寮の正面玄関を移築して作られた、大阪最古の建造物。それぞれが相対して並ぶ様は、大阪の近代建築史を物語るかのようでもある。

そして曽根崎通りを挟んだ南側には、日本の貨幣の製造を行う独立行政法人造幣局の広い敷地が、大川沿いに続く。構内の造幣博物館は無料で見学でき、守衛所で手続きして桜の通り抜けで知られる敷地を200mほど歩く。沿道には創設時の守衛書付きの門や当時のガス街灯などが保存され、道中の見どころも豊富だ。展示は貨幣の昔の製造方法や道具の紹介、現在の貨幣の製造工程、日本と世界の貨幣史からなり、500円玉用に打ち抜く型と余剰部とか徳川時代の分厚い大法馬金とか小判のルーツの武田甲州金とか、あとヤップ島の石のお金が原始時代のマンガに出そうで面白い。資料配布の図鑑やシールや紙の貯金箱には、ゆるキャラ化された貨幣たちが楽しげ。

桜宮橋から下流の大川沿いは、右岸は毛馬桜宮公園、左岸は藤田邸跡公園に整備され、藤田邸跡は石橋がかかる日本庭園や塔が配された茶室があり、現代的なデザインの美術館も併設されている。敷地は実業家であり藤田財閥の創業者の藤田伝三郎の本邸で、近代建築の大阪市公館をルーツとする「ザ・ガーデンオリエンタル・大阪」も、敷地内にある。美術館から公園の入口にあたる四脚門、さらに欧風な佇まいのガーデンオリエンタルを過ぎ、京阪線をくぐり寝屋川にかかる京橋を渡れば、大阪城のエリアへと入っていく。