蔵の街遊覧船乗り場からみつわ横丁方面への路地を入ったところ、一般の住宅の庭先や駐車場を使った店で、ガーデン喫茶の名の通り花や植物に埋もれるような様が圧巻。その中にあるテラス席と屋根掛けのオープンな席が用意され、欧風のインテリアや調度品が配された落ち着ける空間だ。庭を眺めながら座っていると、住宅街の一角であることを忘れさせる眺めである。

看板の黒みつ寒天は伊豆のテングサを100%使い、締まった歯応えに潮や草の香りが漂う、海を感じる味。丹波の黒大豆、沖縄の黒糖の蜜も濃厚で、アミノ酸がふんだんなので疲れを取る効果がある、と庭の手入れや水まきをしていたオーナーが説明してくれた。

よく「人の家に招かれたような店」という表現が使われるが、ここはリアルに人の家。オーナーと雑談しながら食後のコーヒーをいただいていると、他所の土地であるこの街がこちら側になったようななごみに、深くはまっていく気分になれる店である。